「ポスティングのルーツは江戸時代の『引札(ひきふだ)』にあります。時代がどれほどデジタル化しても、『自分の足で歩き、手渡しするように届ける』という商いの原点は、今も昔も変わりません」

1. 江戸時代:すべては「越後屋」の足跡から始まった
日本の広告ポスティングの原型は、1683年まで遡ります。
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三井越後屋(現在の三越)の挑戦: 「現金安売り掛け値なし」という有名な引札を、江戸の町中で大量に配布しました。これが日本初の大規模なポスティング活動と言われています。
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ポストがない時代の苦労: 当時は当然ポストなどありません。一軒一軒を直接訪問して手渡したり、街頭で配り歩いたりといった、完全に「人の足と手」だけが頼りの地道なフィールドワークでした。
この「足で稼ぐ」精神は、340年経った今の私たちの仕事にも脈々と受け継がれています。
2. 明治〜昭和初期:印刷技術の進化と「チラシ」の誕生
明治時代に入ると印刷技術が飛躍的に向上し、現代に近いスタイルが生まれ始めます。
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「チラシ」の語源: 街頭などで広告を「ばらまく」様子から、「散らす」が転じて「チラシ」と呼ばれるようになりました。
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新聞折込の普及: 一般家庭に新聞が普及すると、新聞に広告を挟む「新聞折込」が主流となっていきます。ポスティングはいったん、新聞というインフラに乗った形になりました。
3. 昭和後期〜平成:現代型「ポスティング」の確立
高度経済成長期を経て、私たちの知る「ポスティング」という独自の業界が確立されました。
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宅配ビジネスと不動産の台頭: ピザの宅配や不動産販売など、「特定のエリアを絞って集客したい」というニーズが爆発的に増えました。
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ポスト(郵便受け)の普及: マンションなどの集合住宅が増え、各家庭に専用のポストが設置されたことで、新聞を介さず「直接ポストに届ける」現代のスタイルが定着したのです。
4. 令和・現代:再評価される「アナログ」と「現場の力」
インターネットが当たり前になった今、ポスティングの価値が再び見直されています。
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新聞離れへの対応: 若年層を中心に新聞を購読しない世帯が増えたことで、新聞折込ではリーチできない層に直接情報を届けられるポスティングが再注目されています。
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デジタルにはできない「真心」: データ分析が進んでも、最後にチラシを届けるのは「人」です。 雨の日も風の日も、何万歩も歩き続け、住人の方へ挨拶を交わしながら投函する。この誠実な姿勢こそが、デジタル広告にはない温かみと信頼を生み出します。
【まとめのメッセージ】
「まじめに、ていねいに、心を込めて。その伝統を次世代へ」
江戸の町を走った引札の配り手たちも、きっと今の私と同じように「この情報が誰かの役に立ちますように」と願っていたはずです。 歴史を知ることで、今日の一枚がより誇らしく感じられます。
「これがいい!」 時代が変わっても、大切な一通を届けるのは、いつだって「誠実な人間の手」なのです。
2026年4月28日〈44〉

