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【千日の鍛、万日の錬】ポスティングの先に、一生かけて見たい景色がある

「ポスティングなんて、誰にでもできる仕事でしょう?」

そう言われることがあります。

確かにその通りです。

チラシをポストに入れるという行為自体に、特別な技術はいりません。

しかし、この仕事を5年続けてきて、今、私は確信しています。

「誰にでもできることほど、一生かけても極めきれないほど奥が深い」と。

宮本武蔵は『五輪書』の中でこう説きました。

「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とすべし」

3年で“型”を身体に入れ、30年かけて“自分そのもの”を磨き上げる。

5年という節目を迎えた今、この言葉が胸に深く突き刺さります。

1. 「鍛」の3年、そして「錬」の入り口へ

この5年間、私がやってきたのはまさに「鍛」のプロセスでした。

まずは基本動作を身体に染み込ませること。

どんな天候でも、どんな体調でも、毎日異なる配布エリアを歩き、

その時々の環境に合わせて一枚を丁寧に投函する。

この地味な反復こそが、プロとしての基礎体力を作り上げました。

そして今、ようやく「型」が身体に入り、

少しずつその先の「錬」の領域へと足を踏み入れている感覚があります。

技を使うのではない。

挨拶の仕方、チラシの入れ方、街を歩く姿勢……

そのすべてが、私の「在り方」そのものになっていく。

そんな境地を目指す長い旅の、まだスタートラインに過ぎません。

2. 「なぜ、そんなに続けるのか?」への答え

「どうしてそんなに単純な仕事を、5年も続けているのか?」

それは、続けた人にしか見えない景色があるからです。

明治大学教授の齋藤孝さんは、

「百回の練習では起こらない質的変化が、千回によって起こる」

と語っています。

私の場合、それが二つの形で現れました。

一つは技術的な洗練。

何度も通ううち、どんなに分かりにくいポストでも場所が身体に焼き付き、

無駄な動きが完全に消えました。

初めてのエリアでも場所を即座に予測できる。

動きが完全に「型」を超えたのです。

もう一つは心の在り方。

昔は投函不可の看板を見ると「クソッ」と憤っていましたが、

今は「教えてくれて助かります!」と自然に感謝が湧く。

このポジティブな変化こそ、私が積み重ねてきた修行の成果です。

3. 「これがいい!」の裏側にある自信

私が口癖のように言う「これがいい!」という言葉。

それは、過去の挑戦、失敗、そしてこの5年間の積み重ねすべてが、

もれなく「今の私」に繋がっているという確信から生まれています。

YouTubeやSNSで溢れる「AIで楽に稼ぐ」といった言葉。

それも一つの正解でしょう。

しかし、私はあえて「万日の稽古」という遠回りを選びたい。

27年、30年という長い時間をかけて、自分という人間そのものを磨き上げる。

そんな生き方の方が、私にはずっと面白そうに思えるのです。

【まとめのメッセージ】

「努力を習慣に変え、習慣を人格に変える。」

武蔵が説いたのは、奇抜な必勝法ではなく、驚くほど地味な「一歩の積み重ね」でした。

昨日の自分に勝つこと。今日も変わらず歩くこと。

そして、人生をかけて自分自身を磨き続けること。

「これがいい!」

今日も、明石・神戸の街を歩きます。

5年という自負と、まだまだこれからという初心。

その両方を胸に、私はこの「歩く修行」を、一生かけて極めていくつもりです。

2026年6月13日〈91〉

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